APT(Astro Photography Tool ) とCdC(Cartes du Ciel)を連携させると、撮影した画像から撮影位置を解析し、星図上に画角を表示することができます。
これは、APTを使用する場合に、ディザリングなどの機能と並んで非常に大きな効果があります。
APT と CdC の連携が出来たようなので、連携のセットアップと操作手順を(分かる範囲で)記録しておきます。誤解や不要な操作などもあると思うので、コメントやメールでご指摘お願いします。
■セットアップ
APT と CdC は、ASCOMで望遠鏡に接続される必要があります。
APT から CdC を選択します(IP アドレスとポート番号の指定)

APTのTOOLsタブで'APT Settings' をクリック → Settings ダイアログが開くので、Planetarium タブで、Cartes du Ciel を選択して、IPアドレスとポート番号(127.0.0.1 と 0 )を設定します。

CdC は、設定の基本から、サーバー・タブを選んで、IPアドレスとポート番号をAPTと合わせます。
(たぶん)これだけで、APTとCdCは連携するように設定されます。
しかし、このままでは、連携しているかどうか分からないので、CdCで撮影される範囲(望遠鏡の位置)を表示するようにします。

設定から、画面表示を選択して、アイピース視野とCCD画角を指定します。使用する機器により指定する値は変動しますが、ここでは、ASI1600MC-Coolの場合を示しています。

画角を設定する際は、CCD画角ダイアログの'Compute'ボタンで表示範囲ダイアログを開き、 Telescope Focal Length に望遠鏡の焦点距離(mm) と、Pixel Size(mu), Pixel Count を入力して、Computeボタンをクリックします。
計算結果は、CCD画角の幅と高さに反映されます。
説明の部分をクリックすると入力でき、星図上に表示されます。異なる焦点距離を表示したい場合は、それぞれ登録すると画角が多重で表示れます。

CdCのカーソル位置が赤く表示されます。カーソルは画角を表し、その中にある楕円は、撮影対象天体のおおよその大きさです。撮影された画像が、どのような感じになるのかが把握できます。

マルカリアン・チェーンを表示すると星雲の配置がわかります。
次に連携を確認するために、APTで撮影した位置(RA, DEC)を解析します。

夜、撮影地で、この確認をするのは大変なので、いつでも出来る方法は、APTで以前撮影した写真を呼び出すことです。
撮影した記録は、apt_thumbs フォルダに pngで格納されていますが、同じ鏡筒(焦点距離)・同じカメラであれば、以前撮影したものや(多少)画像処理したJpegなどでも大丈夫なようです。
ここで、焦点距離とCCDのサイズが必要になりますが、Toolsタブで設定できます。

1600は、望遠鏡の焦点距離です。CCDの値は、ASI1600MC-Coolの場合です。

設定後、画像をImgタブから選択して表示し、Gearタブの 'Point Craft' をクリックすると、Point Craftダイアログが開きます。
ここで、'Solve'すると画像の位置を解析しますが、大きくズレた場所だと解析できないので(BlindでASPSを起動すれば、どこでも探してくれそうですが、データが大きくなるので使っていません)、あらかじめ、望遠鏡を写真の天体の位置に合わせておいて、 ' << Scope Pos' するか、'Objects'で天体を指定(もしくは登録)して、Approx.RA, Approx.DEC を指定して 'Solve' する必要があります。

'Solve'を実行すると、PlateSolve2が起動して画像を解析します。実際には、APTの裏側に隠れて処理するので、アイコンしか見えません。Alt+Tabで切り替えれば、解析中の状況が見えます。

解析後、'Show'で CdC に解析した位置が白で表示されます。CdCカーソル位置と一致すると、白カーソルと赤カーソルが重なります。

望遠鏡を移動させると、赤カーソルが移動します。
■操作手順
CdCで対象天体を検索し、望遠鏡メニューから導入します。
導入後、APTで撮影して Point Craft で '<<Scope Pos' した後、Solve すると、撮影された実際の場所がわかります。
Syncすると、 CdCのカーソル位置が対象から移動するので、再度導入すれば、ほぼ視野の中央に入ります(多分)。

※CdC は非力なパソコンでは非常に重いようなのですが、星図の Star Filter と Deep Sky Filter で「減らす」を選択すると多少軽くなります。
何度か繰り返して減らす、減らす、減らす...すると多少軽くなるようです。
APT と CdC が連携することで、撮影しようとした場所と、実際に撮影した場所のズレが確認できるようになりましたが、ステラナビゲータでも似たようなことは出来ます。
ただ、ステラナビゲータは星図側の画角だけで、実際に撮影された範囲は分かりません。Syncすることで、撮影位置に星図を同期させる事はできるので、差分を再導入すれば、導入誤差は少なくなると思います。
星見屋さんから、APT と CdC を組み合わせた場合のメリットをご教示いただいているので、列挙します。
・撮影するCCDの画角がCdC上に表示される。
・複数の対象をバランスよく撮影したい場合、CdCで撮影したいポイントを指定して導入できる。
・画角内に撮影対象のサイズが図示される(こんな感じの写真になりますよ的な表示)
これらの機能に魅力を感じる場合は、 APT と CdC で運用するのが良いと思います。CdC とステラナビゲータは操作性がかなり異なるため(ステラナビゲータに慣れている事もあって)ステラナビゲータの方が操作性が良いと思われる場合は APT + ステラナビゲータの運用もアリだと思います(APT+CdCより機能は劣っても操作性を優先させたい場合)。
私は、極軸合わせ(極軸望遠鏡で十分と思っていますが)と、AdvancedVXの最初のアライメントは、SharpCapのモノクロ出力で行う予定です。Gain=600で露出時間 500mSec.程度に設定し応答性能を優先しようと思います。
アライメント時も撮影位置解析を行えば、ファインダーを使わずに行う事も可能と思われます。ファインダーと主鏡筒の調整が面倒であったり、ファインダーで星を見ると無理な体勢を強いられるような場合には有効と思います。
ただ、星図上の位置と実際の位置の差が大きい場合は、解析に長時間を要します。
ピント合わせは、最初だけ、SharpCapのモノクロでROIして、応答性能優先で合わせておいて、実際に撮影する時は、直接対象を導入せず、近くの明るい星を導入して APTでピントを確認することを想定しています。
これまでも AdvancedVXの正確なGOTOで運用していて、この方法に慣れているためなので、APTで最初からピント合わせしても良いと思います。
1秒間隔の描画ですが、バーティノフ・マスクを使ったピント合わせは、かなり使いやすいです。
ピントを合わせた後、バーティノフ・マスクの外し忘れを防止するメッセージも表示されます。
APTの留意点として、カメラのゲインが分かりにくい点が、あげられます。
位置確認のために、Gain=600にしておいて、撮影時にGain=300 に戻すつもりで忘れて撮影してしまう場合があります。
どこかに表示されていて見逃しただけかも知れませんが、ASCOMでカメラを接続しているために、こうなっているのかも知れません。
SharpCapもFitsで撮影するつもりが、間違えてSERになってしまっていた事がありましたが、同じようにGainを間違えて撮影してしまったことがありました。
1枚撮影が終わるまで待ってから確認すれば防げますが、F8でLPS-V4だと10分かかるので手抜きして失敗しました。
APTは機能が多いため、画面上にボタン類がたくさん配置されています。慣れるまでは、自分用の操作手順書(操作用メモ)を準備するのも有効と思います。
いきなり撮影地で操作しようと思っても、何をどうすればいいか戸惑う可能性が高いので、ある程度、事前に操作して、撮影に向かうのが良いと感じました。
どこかで現代文の先生とかに見られてるとアレなので、正しい(ツモリ)の日本語にしました。でも、睡眠不足で朦朧モードなので、あちこちアレでも勘弁してください。なんつって(古ッ。こんな長文をこのボケのために書いたのか?俺...)
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