APT(Astro Photography Tool ) を使って、ディザリングしてみようって企画の続き。
にゃあさんがAPTを使って、かなりヨサゲってレポートされてたんだけど、
>M-GENを使ったディザリングができるかどうかは、けむけむさんが検証してくれるはず(他力本願)。
なんて、とんでもない事書いてあったので、老体に鞭打って、色々とやってみた。
まず、APTを調べるにあたって、やった事は、「とりあえず購入してみる」。これで気合い入って調べる準備は完了。
APT と、ASCOM Platform と ZWO ASCOM ドライバをインストールする。

オヤジさんが、カメラの認識で難儀されてるようなので追記しておきます。
ASCOM ドライバをインストール後、APTを起動して、Cameraタブで Connetボタンをクリックすると接続するカメラの選択ウィンドウ(左上)が出るので、ASI Camera を選択。ここから、Properties で ASI1600MC-Cool のGainなどが設定できる。
この設定画面はAPTのCameraタブの右下にある Settings... ボタンをクリックしても表示可能。
一度認識するとカメラを記憶して、以降自動的に接続され、接続時には、キーーーンッって音がする。
APTは購入しなくても使えるけど、赤文字で、気に入ったら買ってね的な事が書いてある。
購入するのはライセンスキーなので、メールで入手できる。星見屋さんから購入できる。今、SOLD OUT になってるのは、これ書いてる誰かさんのせいです。すんません。
↑星見屋さんでライセンスキーを補充されたようで、SOLD OUT は解消してます (^o^;

インストール後、ツールチップは日本語化できる。APTのダウンロードページにある APT in your language! から Japanese 選んでダウンロードした ToolTips.xml をAPTのインストールフォルダにコピーすればOk。上のハードコピーみたいに日本語の説明が出るようになる。

ASI1600MC-Cool の温度は、Cooling Aid ってのでコントロールできる。Cooling Stepで指定した温度差づつ徐々に下げる事ができるので、結露しにくい効果はありそう。

で、いよいよ M-gen でディザリングって、どうなるの?ってのをやってみようとしたんだけど、M-genが接続されていないと怒らてしまって途方に暮れた。
で、何度か星見屋さんにメールで質問したんだけど、犯人は、 Virtual UI。Virtual UI 経由でm-genを制御するんぢゃないか?と予想してたんだけど、そんな事なくて、見かけ上、m-genは何事もなかったかのように普通に動いてるけど、こっそりAPTに操られてるって事っぽい。
m-gen は Virtual UI してる人なら、既にD2XXドライバをインストールしてあると思うけど、そうでない場合は、まず、D2XXドライバをインストールする。
m-genのファームウェアは 2.04以上が必要らしいので、要チェック。m-genを起動すると、"-= MAIN MENU =- 02.42" みたいなものが表示されるけど、この02.42 が 2.42 の事らしい。なので、 02.03 とか表示されていたら、ファームアップが必要だけど、これは virtual UI を起動する画面から処理する必要がある。

で、m-gen コントローラはUSBで接続された状態で電源が入っているけど、virtual UI は使わない状態にすると、APTはm-genを認識する。
m-gen が接続されると、"Connected to Lacerta MGen." ってメッセージが出る。

Gear タブの Guide ボタンでディザリングするか否かや移動方法・量を指定できるので適当に設定して10枚くらいキャプチャしてみると、キャプチャして、ディザリング開始、ディザリング終了、次のキャプチャ開始って感じでメッセージが出る。ディザリング中は数秒待つ。

キャプチャした Fits をステライメージでコンポジットすると、隅っこがズレるので確かに移動してるんだけど、ここに落とし穴が...
赤道儀動いてるから風景なんかを撮影したら、ズレてて当たり前。

コンポジットするとき、並進ずれを確認すると綺麗な間隔でズレてないので、赤道儀がノータッチガイドしてる事によるズレでは無さそうなんだけど、これ以上は実際にやってみないとなんとも...

キャプチャして得られるファイル名は、すごーく長いんだけど、これは割と自由に設定できる。

Toolsタブにある 'APT Settings' ボタンで表示されるSettingsダイアログのName Partsボタンで ファイル名編集ダイアログが表示される。Name Partsの隣のボタンも設定すると幸せになれそう。

キャプチャする画面の右下にあるObject Name を先頭に付けるようにすれば、SharpCapと同じように対象名+連番(実際にはタイムスタンプ)で分かりやすい名前になる。
出力ファイル名には、何をどんな順番で使うかを設定できるので、かなり柔軟。ただ、いくつか必須項目(*の付いた項目)があるので、それなりに長い名前にはなってしまう。
とりあえず、ここまで出来たので晴れたら実際に撮影して確認しないと先に進めない。
SharpCapはシンプルで分かりやすくていいけど、APTはこれでもかって感じに機能てんこ盛り。バーティノフのピント補助や画面をルーペで見るような機能とか小技もあれば、フィルターホイールの制御とか望遠鏡の制御、はてはドームの開閉まで制御できちゃうっぽいけど、残念ながら、ドームはないので確認できない (^o^)
夜、辛うじて星が見えてたので、色々やってみた。

APT とは直接関係ないけど、SharpCap で極軸を調整する際、ASI1600MC-Cool に50mmのカメラレンズを付けた状態で使用できた。
極軸調整用にカメラを準備しなくても、ASI1600MC-Coolで両方出来るのが確認できた。下手にAR0130なんか使うより、ずっと見やすい像で極軸調整できる。

バーティノフマスクを使ったピント確認ツールはこんな感じ。赤い丸が青い丸に重なるように調整すればいいようだけど、交点が拡大表示されてて、やってみると、かなり使いやすい。SharpCapのグラフよりやりやすいと思った。

これでバッチシだぜって安心感はある(触らなくても見ていると、0.3程度は変動してたけど)。

撮影中。左側に何枚指定した何番目と終了予定時刻が大きく表示されてて、見やすい。
Logに、撮影して、ディザリングして、また撮影して... って感じに実行経過が表示される。
点線は、アライメントとかで使う SharpCapの×や同心円と同じような用途で、Cameraのボタンのちょっと左にある○に+を重ねたアイコンで出したり消したりできる。

M-genのコントローラはこんな感じ。しばらくベターと動いてる部分があるけど、ここがディザリングしてる最中。RA, DEC のどちらかが大きく移動する。
この時間が結構長くて、30秒くらいだったりするので、撮影のトータル時間はかなり長くなる。
特に短時間多枚数でのディザリングは致命的に撮影時間が増大しそう。
ディザリング時間はパラメタを変えると変化すると思うので、色々やって試行錯誤が必要な部分。
と、M-genの virtual UI はAPTと同時には利用できないので、M-genの操作は全てM-genのコントローラでやる方が良い。
撮影対象を変える時だけ、APTからM-genを切断(ボタンクリックでOk)して、virtual UI を起動し、キャリブレーションやガイドスタート操作後、virtual UI を切断して、APTから再接続すれば可能だけど、結構面倒くさい事になりそう。

実際にディザリングして撮影したものをコンポジットしようとすると並進ずれが、ディザリングしない時のように同じ傾向でズレるのではなく、振れ幅が大きくなっている。バッチで基準点指定できないので、個々に基準点をチクチク指定する必要がある。

コンポジットすると、周辺部に重ならない部分があるので、ディザリングが出来ていることが確認できた。
Dithering Distance:4 を指定してみたら、かなり大きいようなので、1 で良さそう。
ディザリング以外も、どのくらいを指定すればいいか分からないパラメタがうじゃうじゃある。

等倍で切り出してみると、縮緬シマはまったく感じられない。ディザリングの効果は大きい。

比較のために、ディザリングしなかった時の並進ずれの量と問題の縮緬シマを等倍切り出ししてみたもの。ディザリングの効果は明らか。
やってみたら、思ってたほど難しくなくディザリングに成功した。APTは機能が多いので、とっつきにくい印象を受けたけど、半日で、それなりに分かって来たので、UIは良く考えてあるんだろう。
→APTの使い方は、こちらのブログに丁寧な記事があったので、参考にしつつ、これから勉強。
→星見屋さんのFacebookでシェアされているAPTの使い方も参考になります。
星雲やら彗星は APT、月・惑星はSharpCapが向いているような感じは確かにある。ただ、SharpCapの極軸ツールは便利なので、両方を使い分けるのが適切だろう。
→APTも極軸合わせの機能(DARV)があるらしい。要確認。
APTから星図ソフトに連携する機能もあるようだが、彗星の導入はステラナビゲータを使う方が便利なので、APTから望遠鏡コントロールはテストしていない。
→「フリーのプラネタリウムソフト“Cartes du Ciel”と連携して画角枠の表示、自動導入場所の指定、PlateColve(位置解析)、自動位置修正が可能」らしいので、使った事のないステラショットと同じような事がASI1600MC-Coolだけで可能っぽい。要確認。
APTの注意点として、星見屋さんに教えて貰った重大なポイント。
ボタンをクリックしてハングアップする現象は、実は、APTの裏に ASCOM Chooserのウィンドウが隠れているときに発生するそうで、裏側にあると、タスクバーのアイコンがダブって見えるので、その時は、Alt+Tabで隠れているウィンドウを出して操作すれば大丈夫との事。
これはみんなハマってしまいそう。
朝起きたら、星見屋さんから、APTについて沢山の情報がメールで届いていたので、次の記事を書くときに、一緒に書いておきたいと思います。
APT、まずは、 User Guide を読むのが良さそう。これは、英語得意なにゃあさんが翻訳してくれると思います。タブン。
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